【実物で分かる!】ポートフォリオの作り方② コンセプトからアウトプットまで

デザイン系の就活でしばしば求められるポートフォリオ。自分も2021年卒デザイン系の就活生として、ポートフォリオを作成していました。ですが、初めての作業なので、思うようにいかなかったり、行き詰まることが多かったり。色々遠回りしてしまいました。そこで、自身がポートフォリオの制作をする中で、気づいたことを色々まとめてみました。

「先これ知っとけば、ラクに進めたのになあ~」

そんな情報を詰め込んでみたので、これからポートフォリオを作成しようと思っている人は参考にしてみて下さい。

また、「デザイン系の就活に興味はあるけど、何から知ればいいの?」という人向けに、記事の後半でデザイン・広告業界の構造、就活サイトをまとめてみました。文系の目線からデザイン・広告業界を分析しているので、「美大とかではないけどデザイン業界に興味がある」人には結構参考になると思ってます。

 

この記事のライター:まっつん

立命館大学 経営学部経営学科 4回生

Syumirun!が発行するリーフレットやフリーペーパーのデザインを担当。またSyumirun!関連で商店街のマップや友達が主催するイベントのロゴなどを制作。

最近Switch liteを買ってドラクエVIにどハマり中。

 

前回の記事では、ポートフォリオのコンセプトの作り方を解説してみたので、そちらも参考にしてみて下さい。

【実物で分かる! ポートフォリオの作り方 】下準備からコンセプトまで

2020.07.23

この記事では、どのようにコンセプトをポートフォリオにアウトプットしていくのかを解説していきます。

前回の記事では、ポートフォリオを作るそもそもの目的であり、もっとも伝えたいことであるコンセプトを立てました。

 

このコンセプトだと、あまりに抽象的すぎて方向性が定まりません。ここで自分はこういう問いを立てて、自身のコンセプトを補強していきました。

 

「企画マニアってどういうこと?なぜそう思ったの?」

これまでの自身の作品を押し並べて見たとき、

①ジャンルが多様
(ロゴ、マップ、リーフレット、広告チラシ、フリーペーパー)

②制作する前段階、予算、ミーティングなどから関与している

などが思い当たりました。この2つの回答の中で、特に際立つと思ったのが②の方でした。
確かに様々なジャンルのデザインをしていますが、それ以上に制作の前段階のミーティングから関わり、「実際の相手と話をしている」「使える予算から考えている」などの方が特記すべきだと思いました。なぜなら、美大やデザイン系の就活生に、デザイン自体の能力では勝てないが、その前段階では勝てると思ったからです。さらに自身が経営学部であることとも相性がいいように思いました。(就活の際にプロデューサーとしての道を開くことができるし、実際にデザインした側なのでデザイナーをマネジメントする立場としては申し分ないと考えました。)

このようにコンセプトが抽象的であることに悩んでいるなら、そのコンセプトを具体化し、空想のライバルと比べてみるといいかもしれません。当たり前ですが、自身の強みは他のものと比べてみないと見つけることはできません。自分の就活にはどんな就活生が隣にいるのか。それを考えると自分にとってのライバルが見つかるかもしれません。

 

そして、自分はさらにコンセプトを具体化しました。

自分はこれを全ての作品において、特記すべきこととして置くことにしました。つまり、ポートフォリオに載せる全ての作品において、アウトプット(100)だけではなく、「なぜこれを作るのか(0)」「どのようにして作っていったのか(1~)」を明記することに決めました。

ここまで具体化できていくと、次のステップに自然と進むことができると思います。それは、そのコンセプトを最も体現できるポートフォリオの形・形態は何かということです。

Photo by UX Indonesia on Unsplash 

 

コンセプトを最も体現できるポートフォリオの形・形態は何か。実物?PDF?動画?

ポートフォリオの形態は基本エディトリアル(※雑誌デザインのこと)で、フォーマットはPDFか実物です。
これを考える際のポイントは、一つです。それは、どのような形でアウトプットすれば、最もコンセプトを伝えることができるかということです。作品に動画が多いなら、動画まで飛ぶQRコードが必要なりますし、コンセプトによってはジャバラ折りのリーフレットの形の方が最適かもしれません。ここでは形態に制約をかけずに自由に発想します。

 

ポートフォリオを何で作るか
Illustrator?? Photo shop?? Indesign??

一般的には、IllustratorとかIndesignで作ります。特にIndesignはエディトリアルのデザインに特化しているので使うといいです。自分は時間がない&PCの容量がヤバかったので、PowerPointで作りました。というかラクしたかった。デザイナーを目指してる人ならIllustrator、Indesignを使うのが無難です。(そのソフトを扱う能力を示す必要があるから。)

 

どのようにポートフォリオにおこしていくか

エディトリアルデザインの方法に乗っ取って解説していきます。エディトリアルデザインとは、雑誌、冊子などのレイアウトデザインのこと。違いはあれど、デザインの大まかな流れは、今から解説するものとだいたい同じです。デザインに興味がある人には面白いかもしれません。保存版的な感じでまとめてみました。

 

デザインの大きな流れは以下の図の通り。

” 最初に、「対象」に関する様々な情報(対象自体⦅内⦆と対象近辺⦅外⦆の情報)を収集していく。そして「目的」に応じて、その情報を構築し、コンセプトを立てる。そのあと、そのコンセプトを最も効果的に具現化する方法を考え、制作ラフを作り、実際に制作していく。情報収集からコンセプトまでは、収束・抽象化。様々な情報を集め、構築し、思考を一つにまとめていく。そして、コンセプトから発信・提出までは、精微化・具体化。どの形態にするのか、トーンは明るめか暗めか、フォントは明朝体かゴシックか、どんどん細かくなっていく。”

 

デザインの大きな流れは上記の通りですが、特にエディトリアルデザインの流れは、

情報整理→伝えたいことの確認(クライテリア)→優先順位の決定→レイアウトの決定→実際に制作。だいたいこの順に進めていきますが、実際は各段階を行ったり来たりして精緻化していきます。

 

まずは、コンセプトを確認。

前回掲げたコンセプトは、「企画を0から100まで」。単にアウトプットとしてではなく、その前段階の構成力を伝えたいと考えていました。これがこれから情報に優先順位を付けていく段階での判断基準(クライテリア)となります。

 

そして、情報の列挙・整理。

自身の作品の情報をモレなく列挙・整理していきます。これは前回の記事で解説したコンセプトを考える時に、すでに行っているのでそれを使うといいです。

 

ここから集めた情報に優先順位をつけていきます。

自身が最も伝えたいことは構成力なので、情報の優先順位はこんな感じになりました。

①自身の作品のビジュアル
(これは誰のポートフォリオでも一番大事。当たり前だけど)

②その作品の解説&裏設定
(コンセプトに対応、このあたりから自分のオリジナルな部分が出てくる)

③実践の場

④担当業務

⑤日付、部数

 

エディトリアルデザインのフレームを知る。 タイトル、リード文、キャプション etc. ・・・

エディトリアルデザインにはよく使われるフレームがあります。これらを作成する前に知っておくだけでも、効果的な見せ方をすることができます。またヌケモレを防ぐことができるので、「また最初からやり直さなあかんやん・・・」の予防にもなります。

 

 

実際のポートフォリオだと・・・

フォーマットを考える。 全てのページに共通させる部分ってどこ?

エディトリアルデザインには、フォーマットがあります。フォーマットとは、全てor一部のページに採用させる形式のこと。これがあることで、読み手はまとまりを感じ、自分が今どこを読んでいるのか、格段に分かりやすくなります。読みやすいエディトリアルには欠かせない要素です。 また、フォーマットは全体の骨子でもあるので、そのエディトリアルの雰囲気そのものも体現します。

☝同じフォーマットを使うことで、文面に統一感が出て、「今何を読んでいるのか」「どこまでが同じ特集なのか」が分かりやすくなる。またこのフォーマットは、ラーメン単品のメイン写真、一行のタイトル、1:2分割で作られていることで、「ラーメンそのものを紹介する」ことに特化したといえる。

 

☝インスタのレイアウトのフォーマットによって、「タピオカをインスタに載せる」ことをイメージ。フォーマットが文面の雰囲気を決めるというのは多分こんな感じ。

 

フォーマットを考える際に、抑えておくことはだいたい3つ。

・エディトリアル・フレーム
・どこまでこのフォーマットを採用させるか
・この制作物で体現したいイメージはどんなものか

 

フォーマットは、さっき触れたエディトリアル・フレームによって作られています。

なので今から行うのはフレームをカチャカチャいじったり、配置を変えたりしながら、最適なフォーマットを作ることです。

そしてその前段階として、「どこまでこのフォーマットを採用させるのか」を考える必要があります。雑誌などは、特集ごとにそれぞれのフォーマットがあります。ただ、今回のテーマはポートフォリオなので、全てのページで、一つのフォーマットを採用してもいいと思います。

この制作物で体現したいイメージはどんなものか。これはかなり難しいです。自分でそれを一から考えるのはなかなか骨が折れる作業なので、自分のイメージと似たイメージのモノを集めることから始めるといいです。センスのある人は、おそらく自分が描いたイメージを体現できるのでしょう。ただ、それがなかなか素人には難しいので、似たイメージのモノを集め、それがなぜそのイメージを体現できているのかを分析し、それを自分のポートフォリオにも採用していく方が近道な気がします。

 

自分はポートフォリオのコンセプトを「企画・構成を1から100まで」とおき、「解説書」や「取扱説明書」をイメージしていました。そして実際に作成したポートフォリオはこんな感じになりました。※一部抜粋

 

ちょっと気になるQ&A

どんな就活サイトを使った??

” マスナビ “ www.massnavi.com/

「宣伝会議」のグループ会社が運営する広告・Web・マスコミ業界に特化した就活サイト。広告系の企業だけでなく、実際にその会社で働いている人のインタビューや広告コンペの情報も掲載されているので、一番おススメ。

広告系統に業界を絞っている人はもちろん、まだ広告業界を視野に入れていない人も抑えておいていい。

 

「広告業界ってどういう構造?」「どんな職種があるの?」などの基本的な情報がサイト内で分かりやすくまとめられていたので、良ければ参考に。

https://www.massnavi.com/work/

また「宣伝会議」の雑誌なども参考にするといいです。読み物としても面白い。自分は立ち読み派ですけどね!

https://www.sendenkaigi.com/books/back-number-sendenkaigi/

 

” JDN “ https://www.japandesign.ne.jp/

デザインに関するニュースや企業、イベントなどの情報を取り扱ったデザイン情報サイト。就活サイトというよりは、最新のデザインの動向をチェックするのに役立つ感じ。美大や専門学校の人などデザイナー向けの情報サイト。

他にもコンペ、公募、アワードなどの情報サイト「登竜門」も運営しているので、自分で何かを作ってみたい、挑戦してみたいという人はチェック。

登竜門 https://compe.japandesign.ne.jp

 

デザイン系の選考フローってどんな感じ??

広告系の企業や営業などの職種は、基本他の企業と同じような感じ。履歴書提出、一次面接、二次面接、グループワーク、最終面接みたいな。履歴書を提出する際に、企業から課題や作文が出されることもある。

デザイン・制作系の企業やデザイナーなどの職種は、履歴書&ポートフォリオ&課題の提出、一次面接、二次面接、最終面接みたいな感じ。基本三次面接が最終面接であることが多い。(他の職種よりも楽だね!って就活してるとき思った。その分ポートフォリオがめんどくさい)

 

職種の違いが良くわかるの図

 

仕事の流れと職種が良くわかるの図

どこの段階を担当するのかが職種の違いだね!コンサルだと営業と立案の中間、ライターだと企画と制作の中間などなど。

 

広告・デザイン系で就活を進めていく際は、その企業がどんなことをしているのかも大事ですが、「自分は何をしたいのか」「どんな仕事・職種が向いているのか」などの職種的な視点から考えてみるといいかもね!そうするとまた新しい選択が増えるかも。

例. 『営業はイヤ。向いてる気がしないし。だとすると企画職かマーケティング職かあ…。門がせまいなあ‥‥。コンサルはなんかハードル高いし、賢い人多そう。ああなんかバリバリ働くというよりは、黙々とコツコツと働ける職種ないかなあ。経理は簿記あんま好きじゃなかったしなあ。そうだ!プログラマーなろう!先輩もたしか文系やけどSEなったって言うてたし!さっそくHTML、CSS勉強するぞ!!あれなんか思てたんとちゃう。なにこれ難し。やばい心折れそう…。ああ、なんかネクラにも向いてるSE系、経理系以外の仕事ないかなあ。そうだコピーライター、ライターなろう!』

文系で広告系やライターとか目指す人の最初のきっかけってこんなもんな気がする。だから自分にはセンスがないから…とかで絞りすぎない方が良いかも。もちろん元々広告が好きな人もいるけど、そういう人たちだけじゃない。

Photo by Headway on Unsplash

 

ポートフォリオ&作品が重すぎて、企業に送れない時は??

ギガファイル便を使うといいです。無料で使えるし、企業の方も使ってることが多いように思います。使い方はとっても簡単。ギガファイル便のサイトにいってポートフォリオをダウンロード。ダウンロードしたら、そのポートフォリオの保存先のURLが出てくるのでそれをコピーしてメールとかに貼り付けて送るだけ!普通に容量のデカい書類を送る時に便利。

ギガファイル便 https://gigafile.nu

あと他の方法として、Google ドライブに上げて、リンクの共有をオンにして、そのURLを送ったりします。

 

面接でポートフォリオの説明をするとき、何を意識した??

あくまでポートフォリオは自分の作品やこれまで何をやってきたのかを説明するための補助輪だと意識して、ポートフォリオで足りていないところは口頭で説明したり、相手の質問に応じて、面接では追加の情報を加えたりしました。あと、相手の質問に素直に直結で答えることを意識するといい気がします。(作品自体の説明に固執しすぎて受け答えが成立しないことがある。特にこだわりを持っているとね。)

 

 

【関連記事】

【3回生必見👀】楽しんだもん勝ち!!OIC先輩に聞いた就活術✨✨

2019.12.09

【学生よ。一歩を踏み出せ】フィリピンに海外インターンという選択

2018.06.04

クローズアップインターン+ ~長期インターンの裏側にせまる~

2019.10.24